債務整理した後もクレジットカードを使う方法~過払い請求、任意整理、個人再生、自己破産をしてもカードは使える?

今回は、「一部のクレジットカードだけを債務整理したい」ときの方法や注意点について解説します。

今の私たちの生活には、クレジットカードはなくてはならない存在になりました。

日本クレジット協会の調べによると、日本で発行されているクレジットカードは、2億7,000万枚にもなります(平成30年3月末現在)。

1人で2枚・3枚以上のカードを持っている人も、いまでは珍しくなくなりました。

債務整理する際には、「クレジットカードはすべて処分(解約)すべき」というのが基本的な考え方です。

生活の建て直しにとってクレジットカードがあることは、足かせになる、障害になる可能性の方が高いからです。

とはいえ、いまでは、現金決済するとかえって不便な取引も増えてきました。

また、家賃などもカードでの支払いを求められる場合も珍しくなくなりました。

そのため、債務整理をしても「どうしてもカードがなければ困る」ということはあるかもしれません。

実際にも、「一部のカードだけを債務整理する」ことは不可能ではありません。

債務整理の対象とならなかったクレジットカードは、債務整理後も利用できます。

しかし、弁護士・司法書士に相談することなく、一般の方が「カードを残したい」と独断で対応することは、決しておすすめできません。

これから解説する注意点を参考に、弁護士・司法書士の指示にしたがって正しく対応してください。

また、大切なことなので最初に結論からお伝えします。

『1年以上、借金の返済総額が減っていないor増えている。』

『このまま借金を完済するのは厳しいのは分かっているけど、利息だけ毎月支払うような状態が1年以上続いている。』

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それでは解説をしていきます。

債務整理してもクレジットカードを手元に残す方法

債務整理をしても、「一部のクレジットカード」を解約せずに手元に残すことは不可能ではありません。

状況次第では、自己破産をした場合であっても、クレジットカードを手元に残せることもあります。

任意整理の対象から除外する

一部のクレジットカードを対象に債務整理を行う最も簡単な方法は、「任意整理」で債務整理を行うことです。

「任意整理」は、整理の対象にする借金を選ぶことができます。

たとえば、任意整理であれば、「楽天カードとプロミスは利用残高が多いので任意整理するが、家賃の支払いに必要なセディナカードは任意整理せずに手元に残す」といったことが可能です。

ただし、利用残高の多すぎるカードを任意整理から除外すれば、任意整理の効果それ自体が弱くなる(毎月の返済額が減らない)ことに注意する必要があります。

「利用残高をゼロ」にしてから自己破産・個人再生する

自己破産・個人再生は、任意整理と違い「すべての借金」を対象に手続きを行わなければなりません。

そのため、手続き開始(申立て)の時点で、利用残高が残っているカードは、すべて解約されてしまいます。

このことを逆に理解すれば、一部のカードだけを債務整理したいときには、「債務整理したくないクレジットカードの利用残高」を「自己破産・個人再生申立て前にゼロ円にする」ことで対応できます。

しかし、利用残高をゼロ円にするときには、偏頗弁済(へんぱべんさい)に注意する必要があります。

偏頗弁済とは、簡単に言えば、「特定の債権者だけを優遇する返済」のことです。

「自己破産前に親戚・知人からの借金だけを返済してしまう」というのが偏頗弁済の典型例です。

自己破産・個人再生は、「すべての負債を公平に処理する」ことがとても重視されている(債権者平等の原則)ため、偏頗弁済があることは大きな問題とされるのです。

自己破産の場合には、偏頗弁済は破産管財人によって否認される場合があります。

そのため、偏頗弁済が疑われるときには、同時廃止で処理できるケースでも管財事件となり20万円以上の予納金が必要となります(同時廃止で済めばこの予納金は不要です)。

さらに、偏頗弁済が悪質な場合(他の債権者の権利を害する目的で行われた場合など)には、免責不許可となる可能性もあります。

個人再生の場合には、偏頗弁済に該当する金額を「清算価値」として計上しなければならなくなります。

偏頗弁済した金額が多ければ、個人再生で返済しなければならない金額が増えてしまうこともあります。

たとえば、300万円の借金がある人の場合であれば、「清算価値(仮に自己破産したときに差押えの対象となる財産の総額)が90万円」であれば、「個人再生で返済すべき借金の総額は100万円(最低弁済基準額)」となります。

しかし、カードを残すためにした偏頗弁済が30万円あるときには、清算価値が120万円となります。

清算価値が最低弁済基準額を超えるときには、個人再生では清算価値の金額以上の返済をしなければならなくなります。

カードの残高をゼロにする行為が偏頗弁済に該当するか否かは、以下に掲げるような事情から判断されます。

・返済行為のあった時期(弁護士・司法書士が受任通知を送付した後はアウト)
・返済した負債に支払期限が到来していたかどうか
・負債の返済が債務者の生活の維持に必要なものであったかどうか

自己破産・個人再生するときに「持っているカードの一部だけを債務整理したい」ときには、弁護士・司法書士に相談し、助言・指示にしたがって正しく対応するようにしましょう。


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カードを残したくてもやってはいけないこと

債務整理をしてもクレジットカードを残したいと思うあまりに、次の行為をしてしまうことは、絶対に慎むべきです。

・一部のカードを弁護士・司法書士に告げずに隠してしまう
・債務整理直前に新しいカードを申し込む

カードを残したいからといって、弁護士・司法書士に内緒にしておくのは、とても問題のある行為です。

債務整理を成功させるためには、依頼人である債務者の財産状況を正しく把握する必要があるからです。

さらに、自己破産・個人再生の際には、お金の動きを厳しく調査されます。

たとえば、自己破産を申し立てる際には、申立て前2年分の預金通帳の写しを提出する必要があります。

弁護士(司法書士)が存在を知らないクレジットカードがあれば、申立書類に不備が生じる可能性もあります。

特に、利用残高のあるカードを申告しなければ、免責不許可となることも考えられます。

保有しているクレジットカードの状況を含めた財産状況を正しく申告しないことは、弁護士と依頼人との間の信頼関係を著しく損なう行為です。

場合によっては、手続きの途中で辞任されてしまうこともあります。

また、債務整理直前に、債務整理後に使う新しいカードを申し込むことも好ましい対応とはいえません。

そもそも、債務整理を依頼する状況では、カードを申し込んでも審査に通らない場合の方が多いといえます。

すでに、既存カードに延滞があったり、与信枠に余裕がないケースが多いと思われるからです。

なお、カードの審査に落ちたことは、「ブラック情報」として信用情報に登録されます。

申込みブラックになったことは、債務整理後に手元に残せたカードの帰趨に不利に働く場合が多いでしょう。

債務整理の対象とならなかったカードは使えるの?

債務整理した際に、カード会社の対応として強制解約されるのは、「債務整理の対象」にしたカードのみです。

カードの強制解約は、弁護士・司法書士が送付した受任通知をカード会社が受領した時点でなされます。自己破産・個人再生の申立てや人整理の交渉を始めたときではないので気をつけましょう。

他方で、債務整理の対象とならなかったカードは、債務整理したことでは解約されません。

したがって、債務整理の対象とならなかったカードは、債務整理後も利用できます。

しかし、これから解説する点に注意する必要があります。

債務整理しなかったカードは「いつ解約されてもおかしくない」

債務整理の対象とならなかったカードは、「カード会社によっていつ途中解約されてもおかしくない」ことに注意が必要です。

なぜなら、カード会社との契約で「顧客に重大な信用不安が生じたときには解約できる」ということになっているからです。

したがって、債務整理の対象としなかったカードでも、「他社を債務整理したことを知られる」ことで、強制解約(途中解約)となる可能性があります。

更新できない可能性もある

クレジットカードの更新の際には、再度審査が行われます。

審査の際に信用情報を照会されることから、過去の債務整理は必ず知られてしまいます。

そのため、債務整理の対象としなかったカードは、契約更新できない可能性があります。

しかし、更新までの利用状況に問題がないときには、他社の債務整理を不問にする場合もあるので、「絶対に更新できない」というわけではありません。

なお、契約更新できた場合であっても「限度額の引き下げ」などの措置が取られる可能性があります。

残ったカードを途中解約されないために注意すべきこと

債務整理の対象としなかったカードが途中解約されるのは、契約途中で信用情報を照会された場合です。

これを「途上与信」といいます。

したがって、手元に残せたカードを長く使い続けるためには、「途上与信されることをできるだけ回避」する、途上与信されたときでも「問題があると判断されないようにする」ことが大切です。

キャッシングは絶対にダメ!

債務整理後、5年(銀行からの借金を自己破産・個人再生したときには10年)間は、借金(キャッシング)の申込みをしても審査に通ることはほとんど不可能です。

過去の債務整理の記録が信用情報に残っているからです。

また、審査に通らないだけでなく、「再度資金繰りが悪化している」と判断されれば、手元に残ったカードが途中解約となる可能性もあります。

信用情報から事故情報(過去の債務整理の情報)が消えるまでは、絶対にキャッシングの利用をしてはいけません。

新しくカードを作ってもいけない

いわゆるブラック入りしている期間は、キャッシング申込みだけでなく、他社への新規カード発行の申込みもできません。

また、カードを申込み審査落ちしたことも「ブラック情報」として記録が残ります。

途上与信の際に、他社の「申込みブラック」に気づけば、カードを解約されてしまう可能性も高くなります。

特に、任意整理した場合には、「喪明けの時期」がかなり曖昧になってしまう場合も少なくありません。

新規にカードを作りたいときには、事前に自分の信用情報を確認するなどして、慎重に対応した方が良いでしょう。

支払いの遅延もNG(他社もダメ)

支払いの「遅延」も強制解約の原因になりかねません。

遅延があれば、信用情報を照会される可能性がかなり高いからです。

過去に債務整理があるにもかかわらず、現在も遅延があるということは、「過去と同じことを繰り返すかも知れない」とカード会社に判断される可能性があります。

せっかく手元に残したカードを使い続けるためには、毎月の支払いに1日の遅延も生じないように細心の注意を払いましょう。

また、他社のカードを遅延することも絶対にいけません。

カード会社は、「何もない場合」であっても、途上与信する場合があるからです。

たとえば、「楽天カード」はかなりの頻度で途上与信するカード会社としてよく知られています。

途上与信の際に、過去の債務整理歴だけでなく、他社の支払い遅延もあれば、カード会社としては解約を考えることもあるでしょう。

利用額をできるだけ少なく抑える

クレジットカード会社による途上与信には、カード会社が任意に行うものと、法律で義務づけられているものがあります。

貸金業者が法定途上与信を行わなければならないのは、次の場合です(貸金業法13条の3・貸金業法施行規則10条の24)。

・1ヶ月の借入額(利用額)が5万円以上、残高が10万円以上の場合には、毎月実施
・1ヶ月の借入額が5万円未満、残高が10万円以上の場合には、3ヶ月ごとに実施

つまり、「利用残高が10万円以上」になると、必ず途上与信されてしまうということです。

厳密に言えば、貸金業法は「クレジットカードのショッピング分」には適用されません。

しかし、クレジットカードのほとんどは、「キャッシング契約もセット」になっているため、ショッピングが多くなった場合にも、カード会社が途上与信することは十分に考えられます。

基本的には、利用限度額に近づくほど、途上与信される可能性と、その頻度が多くなると理解しておいてよいでしょう。

「5万円未満の1回払い」をコツコツ続けることが大切

他社の債務整理を理由にカードを解約するかどうかは、最終的には、それぞれのカード会社が決めることです。

実際にも、他社の債務整理を理由に解約される場合もあれば、解約されずにそのまま更新できることもあります。

そのカード会社にとって「優良な顧客」であれば、他社とのことは不問にしてもらえる可能性は高くなります。

したがって、債務整理から除外したクレジットカードを使い続けたければ、「遅延することなく」、「できるだけ長く取引する」ことがとにかく大切です。

長く取引を続けるためには、「利用額を控える」ことが重要です。

しかし、債務整理後にクレジットカードを使うことは、それ自体が非常に危険な行為であることを十分に理解すべきです。

特に、任意整理・個人再生を利用した場合には、和解成立・再生計画認可から3年以上にわたって借金を分割返済しなければなりません。

この間に、カードを利用して毎月の負担が増えて、「借金返済に失敗」しては、債務整理した意味がなくなってしまいます。

とはいえ、今の私たちの社会生活において、クレジットカードのない生活は確かに不便です。

どうしてもカードで決済しなければならなくなったときには、「『決済額』、『支払い日』を確実にメモする」、「決済した直後に支払い口座に入金する」といった対応を徹底するようにしましょう。

まとめ

「クレジットカードを失うのはイヤだから」と債務整理に踏み切れない人は少なくないと思います。

しかし、債務整理したからといって、いま持っているカードのすべてを失うと決まったわけではありません。正しく対応すれば、債務整理後もそのままカードを使えることも珍しくないからです。

しかし、債務整理は生活を建て直すためにするものです。

クレジットカードの使いすぎは生活再建にとって必ず障害となります。

債務整理を依頼する弁護士・司法書士ともよく相談の上、慎重に正しく対応することを心がけましょう。

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